

八ヶ岳、南アルプスの緑豊かな大自然の懐に足を踏み入れていくと心が落ち着いてきます。幾百年の歳月がつくりだした大樹の空間世界は独特の薫りと緑の要素が体を包み込んでくれます。倒木の周りでは陽を浴びた若芽が命を受け継ぎ大地から栄養をいっぱいに吸収して力強く背を伸ばします。 歩くほどに登るほどに汗を通して日常のけだるい疲労感が外に流れ出していくと、頭の上から足の先から体の中が緑色に染まり始めると森の一部に同化した感覚を覚えます。
谷下から吹きあげる風の音、そよそよと風が揺らす樹々の音...虫の鳴声。 数多くの小鳥のさえずりに混ざって谷向うで静けさを切りさく鹿の高鳴き、小動物の走る気配、ポツポツと湧水のしたたる小さなリズムが心地好い。 微生物から巨木にいたる緑の空間の中では、多くの生命の営みが遥か昔から今に繰り返されています。生産するもの、消費するもの、そして分解するもの、それぞれの役目を確実に繋ぐことで生物多様性というバランスを保ち続けている森。そこではたくさんの“鳥の声、森の声”を聴くことができます。 本来、鳥や野生動物の行動、森林の生育状況が崩れるという現象は既に私たちの目に見えない自然が織りなすその繋がりが断たれたということを啓示しています。
健全な緑の自然であるかは“鳥の声、森の声”が教えてくれています。 人の英知では計りしきれない生命の繋がりが太古から形成されている大自然。 自然の営み、そこに生きる鳥の素顔を写真と絵画に、そして思いを言葉にして発信していきたいと思っています。 |